職場の起源

よく,「今日,職場で〜」や「職場の関係で〜」などと「職場」という言葉を使う.現在の意味は,どうなっているかというと,

つとめている先での仕事をする場所.
三省堂「現代国語辞典」より

となっている.その言葉の起源はどこなのであろうか?


起源は,江戸時代.職人が仕事をする場所じゃないかと考えるかもしれないが,実は幕府で生まれた言葉であり,侍言葉である.お役目についている武士は,毎日江戸城に出仕して各役目ごとの部屋に行く.その部屋を何某部屋と呼ぶが,それを簡単に「場」とも呼んだ.これが起源である.

現在では,各仕事によって部屋が分かれているのが普通である.営業部,開発部,法務部,総務部etcみなそれぞれ部屋が別である.しかし,江戸幕府では,一部の人を除くとほとんどのお役目は同じ部屋であった.老中,若年寄はそれぞれ御用部屋と呼ぶ部屋がある.また,目付も旗本以下の監察官という役目上秘密が多いので別部屋(お目付部屋,関係者以外立ち入り禁止の厳重な部屋!).将軍近くにいる側用人や側お取次ぎ衆らも宿直などする必要があるので専用の部屋がある.しかし,老中・若年寄に次ぐ重職,御留守居や三奉行などは,「中之間」と呼ばれる部屋に一塊.細長い部屋に格式順に,高家奏者番寺社奉行,御留守居大目付町奉行勘定奉行,作事奉行,小普請奉行etcが居並ぶ.別に事務をするわけでなかったので,これでよかったようである.お互いの顔見せ,挨拶の場であり,控え室と考えればよいのかな.

職場の話のはずが,時代考証事典なる本を読んでいてその知識とも相まって長くなってしまった.