涅槃会@東福寺

東福寺涅槃図

涅槃(ねはん)

仏教界では吹き消すこと.または吹き消された状態を表す.そして一般にはあらゆる煩悩(ぼんのう)から開放された究極の理想の悟りの世界をさす.そして死,特に釈迦の死を表す.

涅槃会(ねはんえ)

今から2500年前の旧暦2月15日(現在の3月15日)の夜半に釈迦は80歳で涅槃に入った.涅槃会は奈良時代から盛んに行われ,涅槃図を見せることで文字が読めない人にも注意を引き,幅広い年齢層に仏教の教えを説くことが出来た.怖いと思われていた「死」を身近に感じ「生」と同じよう祝福されるものとして涅槃会が広く庶民に広まったのもこの表情豊かな絵解きのためである.

東福寺でも涅槃会が行われ,14〜16日は三門などが特別公開され,涅槃図を身近にみることができる.行く時間が遅かったせいで,三門は見ることできたが,涅槃図は遠目でのみ見ることができた.東福寺の涅槃図には,猫が描かれていることが珍しく,有名である.


三門は,上部に釈迦の坐像などが祭られている.天井や柱に描かれた絵は,顔料が大分剥げ落ちてきてはいるが,まだ色彩を残しており,唐草模様や水平に何本も引かれた色とりどりの線が美しい.柱は観光客が手で触るために下のほうの絵がほとんどはげてしまっていることが痛々しい.