時代劇の考証家としてあまりに有名な故・稲垣史生氏.彼が,不思議に思ったことをひとつずつ解き明かしてくれる.「今まであたりまえだと思っていたが,確かにそれは不思議だ!」と思うところをうまくくすぐってくれる題材選び.専門家にも関わらず,目の付け所が素朴なところがすばらしいです.そして,証拠を示しながら話を進めてくれるところがまたいいですね.自分で,気になった書物を読んでみようという気になった.さらに,フットワークの軽さも見逃せない.不思議だな→聞いちゃえ!とばかりに,そのネタに関係のある人や寺社に電話する.そして,「知りません!」と剣もホロロに断られる.それでも訪問して調べようとする執念.不思議を,書物や物証で解き明かすという第
三者的な論説文ではなく,もっと小説のような紀行文のような印象でした.自分が一緒に調べているような,ハラハラさせてくれるところが面白かった.