「自治体連続破綻の時代」,松本武洋,洋泉社

自治体連続破綻の時代 (Yosensha Paperbacks)
ショッキングなタイトルではあるが,このさきどう考えても自治体は金銭的に困り,財政再建団体になる自治体が増えることは間違いない.なぜなら,高齢化により税収が増加する見込みは薄い,高齢化により介護保険や福祉,社会インフラ整備(バリアフリー)がいっそう増加してお金がかかる.入る金は減るのに,出る金は増やさないといけない.そしてすでに大量の借金を積んでいる.どこに明るい展望があろうか.

今までは,国から自治体への地方交付税交付金により,自治体は自分の地域の体力を無視した政策を実施してきた.つまり税収を大幅に超過した予算を立ててきたのだ.そうなると,その超過分を支払っているのは交付金という形で出している国であり,結局借金を国が肩代わりしている状況になっている.そうなると,その借金を最終的に返すのは国である.国だけですでに200兆円とも言われる借金があるのに,それに自治体の借金が重なると....そして返すあては全くないだろう.

とはいえ,「借金を返す」ことを積極的に政策に加えている地方議員や首長,あるいは国会議員・首相はほとんどいない.なぜなら,借金を返すことは,今の公共サービスを切り落としていかざるを得ない.それを認める住民のいかに少ないことか.そうなると,借金のツケは,私たちの子供たちの世代が追っていくことになる.もちろん,そのころ,何もしなかった私たちは,やはり,何もできない.

私はこれを読んで次のように思った.「次世代の人々に恥じないように,できるだけ良い状態で残して,渡していく」ことが今望まれていると思う.それは環境問題でもそうだろう.私たちが好き放題しgて汚してきた環境は,今世界中で注目され少なくともこれ以上汚さないようにと努力している.同じ理屈で,これ以上負荷を残さないように,自治体や国の予算のあり方を考えていく必要がある.それは,議員や首長だけに任せるのではなく,住民一人一人がじっくり考える事が大切である.今はそんな状態になっていない.だからこそ,現状を良く知る議員らが立ち上がり積極的かつフランクにそういった場を提供していってほしい.それができる議員を選ぶ義務が私にある.そうはいっても,なかなかどの議員がどういった政策を推進しているとかを調べられていない.特に地方にはほとんど注意を払っていない.なぜなら,今の地方議員や首長には実は自治体の予算のほんの少ししか自由がないのだ.ほとんどは国からの委託業務を実施しているため,そこで予算が取られていく.となると,結局は国会議員も見ないといけなくなり,そんな余力はないのが私の状況である.誰か一人でもよいので,こんな政策を示してくれる議員を認識できれば,よいと思う.