「軍旗はためく下に」、結木昌治

軍旗はためく下に (中央文庫BIBLIO)

1970年直木賞、受賞作。WWII中の話を小説にしている。戦場での混乱した中で逃亡の罪で、軍事裁判で死刑に処せられる仲間たち。反論することもできず、弁護する人もなく、死んでいった。戦後、数十年を経たのち、回想録を作るために生きて帰った人々へインタビューする形で当時の理不尽な状況を一つずつ明らかにしていく。最初は忘れたいためだろう、インタビューを受ける元兵士たちは話す口が重たいものの、当時の理不尽さに怒りや悲しみがこみ上げてくるのか徐々に当時の状況を話しだす。読んでいて、その当時の状況が目に浮かび、涙がこぼれてきた。昨日まで「美味いもの食べたい」と話していた仲間が翌日見ると、爆弾で吹き飛ばされた体を折り曲げて、どろどろになって死んでいく。そしてその状況に麻痺し、恐怖さらには感情がなくなっていく。そんな状況が二度と生じないように心がけていこうと思う。

http://booklog.jp/users/mtanio/archives/4122047153