「ちょんまげぷりん」、荒木源、小学館

ちょんまげぷりん (小学館文庫) 今年(2010年)、映画化されるようだ。
ストーリは次のような感じ。江戸時代からタイムスリップしてきた小普請組の旗本・木島安兵衛がシングルマザーのひろ子とその息子・友也の家に居候をはじめる。最初は家事は女の仕事と拒否した安兵衛であるが、居候の身ということで、家事と友也の世話をするようになる。そのうち、お菓子作りに興味を持ち、たくさんのケーキやプリンを作るようになる。ひょんなことから、テレビの企画「お父さんのスイーツ決定戦」にでることになり、優勝する。不思議な話し方をし、古い(堅い)道徳を述べる安兵衛が面白いと目をつけたメディアによって時の人になる。今までの安兵衛との奇妙ながらも楽しい生活から一変、安兵衛と会えないとも子と友也は寂しくなっていく。最後は再び、とも子と友也との生活の大切さを思い出し、元の生活に戻ろうとしたが、その瞬間、安兵衛は消える。

全体的にリラックスして面白く読めた。メディアに出て忙しい生活から、再び大切さを取り戻すプロセスの描き方が短かく、丁寧に気持ちの変化を描いてあるともっと楽しかったと思う。

最後に、とも子と友也がふとよった和菓子店で”阜凛”というプリンに似たお菓子があり、その創業者が木島安兵衛と見て驚くシーンがある。実際に江戸時代のプリンがあるらしい。名前は”風鈴”と書いてプリン。秘伝のレシピに”西洋風茶碗蒸菓子”と書かれているそうだ。それにヒントを得たのだろうか。
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そして、とも子の仕事はSE(システムエンジニア)。小説としては珍しい設定ではないだろうか。映画ではそのままSEで少しは描かれているのだろうか。世間一般に、SEの仕事の内容が知られる機会になるといいなと、情報システムに関わる者として願う。