「平成お徒歩日記」,宮部みゆき,新潮社

平成お徒歩日記 (新潮文庫)
宮部みゆきさんの結石解消と運動のために始まったこの企画(と本人は言っている)は,東京を中心に江戸の人々が遊山にいった道,赤穂浪士泉岳寺まで引き上げた道,本所七不思議を探すピクニックetc,何らかのテーマを決めて歩く.語り口や独り言のようなタッチで書かれていて,思わず笑ってしまう箇所が多い.作家ってもっと硬いイメージがありましたが,ぜんぜん違いますね.そこらへんにいそうなおばちゃんです.本所が地元なのに実は地元がよくわかっていないことが判明する宮部さん.ちょっと悲しげな雰囲気が文章に出てました.本当にこの本読むと,東京って江戸の雰囲気ほとんどなくなっているってことがわかります.昔の処刑場の横にマンションが建っていたり,砂浜だった場所は埋め立てられ海岸はもうそこからかなた向こうだったりするわけです.石碑が建っていても当時を想像することが難しいです.そして本所・深川は運河の町だったが,いまや埋め立てられ道になっているところが多い.もう一度運河ほしいなぁ.水運いいと思うんだけどなぁ.日本にもベネチアみたいな場所があってもいいでしょう.