「自治体崩壊-経営感覚なき組織の行く末とは-」,手島皓二,PHP研究所

自治体崩壊―経営感覚なき組織の行く末とは (PHP Paperbacks)
【09/28掲載,11/18更新】
最近仕事に関係する本をよく買う.特に,自治体や政府のような名前が冠された本を見ると,あまり確かめもせずに衝動的に買うようになっているf^^;しかし,「美しい国へ」は買いません.


著者は,富士宮市の市議会議員である.そのため,富士宮市を例としてこの本を書いている.経営感覚がなく大赤字である自治体,富士宮市も多分にもれずそのようである.それに対して,誰も対策をとろうとしない.もしとってみたら,どうなるか?という仮想問答があり楽しい.議員が何を聞いてもノラリクラリとかわす市職員たち.市職員は今の状況を,そういうものだと思っているし,どうしようもないと思っているんだろうということを確認しただけである.


では,なぜ赤字体質が変わらないのか?本書ではこう述べている.
・予算ありきの体質
・収支報告書に載っている情報は,一般企業のB/S・P/Lとは意味が異なる.
 不動産や固定資産は,買ったときの価格で載せられている(時価や滅価償却など関係ない!)
 →借金を返すために土地を売っても,全く足りないことばかり(但し帳簿の価格で売れれば返せる)
・予算運営の健全度が高いと「地方交付税」がもらえない.
 →予算運営を頑張ってやらないほうが,いろいろ補助金が入ってうれしい.つまり,誰も真剣にやろうとしない.
・たとえ大赤字でも給料は毎年必ず上がる.
 →今年.一般企業で言う倒産(財政再建団体)になった夕張市でも給料が上がっていた!!
財政再建団体となった自治体がでたのは14年ぶり.
 →予備軍はたくさんいて,10年くらいたてばどっと増えるらしい...
・そこら中に利権が絡んでいて誰もそれをほぐそうとしない.
 →火の粉がふってくるからね!
などなど,先行きは全く真っ暗である.