「ヌフカフェはなぜ潰れないのか」，武田康伸，河出書房新社

いくつか残った言葉を引用しておこう．

確かに僕は，安いお金で店をつくった．しかし，「低コストで店をつくろう」と思って店をつくり始めたわけじゃない．僕は，まず，カフェをつくろうと思った．だけど，僕には360万円しかお金がなかった．豊富な資金はない．でも，店をつくりたい．それも，「いい店」をつくりたい．となると，お金の代わりに知恵をしぼって，時間をかけて，さんざん動き回るしかない．僕は実際に知恵を絞って，時間をかけて，さんざん動き回った．その単純な結果として，僕は僕の欲しかった店をつくることができたのだ．

全然，特別なことじゃないでしょう

やりたいことがあるなら，それについて，最低限の必要な力を持たねばならない．強じんな精神力，現実的なことを考える計算力，状況の全体像をつかむ把握力．斬新な手法を思いつく発想力，他者への影響力，幅広い人脈．．．時には自然に打ち勝つ腕力も必要だ．

ビジネス上の「敵」に対して，僕が選択する対処法は2つある．ひとつは，その敵とは一切関わらないこと．そしてもうひとつは，その敵を包み込めるほど，自分を大きく成長させること．

･･･人間は，混乱する．今まで生きてきたことに対する自信を失わず先に進むためには，しつこく時間をかけて何度も考えを巡らせ，自分を整理するか，もしくは環境を変えるしかない．

何かをなそうとする人（あるいは心ある人間として成長したいと思っている人）にとって，含蓄ある言葉が多くて，特に何も説明がなくとも，ググっと引き寄せられる言葉であった．無性にこの武田さんに会いたくなった．