「箱舟の航海日誌」、ウォーカー(安達まみ 訳)、光文社

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)
聖書で有名なノアの箱舟をモディファイした小説。常に晴れて果物が満ち溢れた世界ですべての動物が仲良く生活していたが、ある日突然雨が降ってくる。この日を予感していたノアとその子供たちは箱船を作っていて、すべての動物を保護する。狭い箱船の中で繰り広げられる動物たちのイザコザや協力の姿が面白く描かれる。そんな中、スカブ(想像上の動物)も箱舟に乗っていた。スカブは大昔、動物を食べてしまいその味がうまいことを知ってしまった。しかし、その結果、暗い生き物となり、動物たちに嫌われてしまう。その出来事を知っている動物は今はいないが、何か漠然とした恐怖をみな感じていたが、箱舟の中の生活で普通に接するようになる。しかし、そのとき、スカブは肉食動物に何かをささやき始めていた。

そして、ようやく水が引き大地が戻ったとき、もう動物たちは決して仲良くいるわけではなく、肉食と草食の戦いが始まる。

これだけを読むと、何か怖いものを感じるが、世の中というものを考えさせてくれた。ジャンルは児童小説であるが、大人も改めて読んでも面白い。