「大名屋敷の謎」、安藤優一郎、集英社

大名屋敷の謎 (集英社新書)
江戸時代を士農工商という身分制度に縛られた封建社会と考えていると衝撃だ。決して厳しい身分制度でなかったとは知っていたが、この本には驚かされた。農民の中の豪農と言われる人々は、大名屋敷や将軍家との取引のために厳しい競争をしたたかに生き残り、武士との交渉に望んでいた。その取引とは、人馬の糞尿の回収、馬用の飼料、人足の手配、庭の手入れなど、様々な人材サービス業、清掃業である。一次産業ではない、真の惨事産業を担っていたわけである。この本は一気に読めて、江戸の武家屋敷の一端を見せてくれた。武家屋敷や町人の生活がどのようだったのか興味ある私にとってはとても面白かった。