「勘定奉行荻原重秀の生涯」、村井淳志、集英社
歴史ではとかく時代の変わり目に前時代の人を悪く描く。それは新しい人が自らを正当化するため。
たとえば、江戸幕府、松平定信、田沼意次、柳沢吉保、蘇我馬子など枚挙にいとまがない。最近では江戸時代が見直されてきているが、そのなかで綱吉の時代の荻原重秀を見なおそうというのが本書。
金兌換の考え方から、貨幣経済を思考していた荻原は、世界より進んでいた。貨幣をその発行元の信頼感から価値を求める事を考えていた事がすごい。当時の貨幣は小判(金貨)か銀貨。その金銀の採掘量が激減していた時代である。すると貨幣が出まわらなくなり、経済に影響が出る可能性があったときに、小判を改鋳するという発想とそれを実現したことはすごい。