「キスまでの距離 おいしいコーヒーのいれ方1」,村山由佳,集英社

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)
ずいぶん以前に一度読んだが,再び最初から読むことにする.勝利とかれんの恋.最初は,ぱっぱと進む.秘密もすぐに判明する.かれんに恋するが,従兄弟なのだからと耐える勝利だが,実は従兄弟ではないことがわかる.そこから,自分の思いを叫ぶ場がはやくも訪れる勝利.そんなに早く自分の思いを本人を前にして叫ぶことができるなんて,現実にあればよいものだ.


この小説の場合,叫んだはいいが,そのあとが問題となる.つまり,一向に関係が進まず,もやもやし続ける.なぜなら,かれんがまだ女として勝利をみれていないのだろう.おたがいにすきなのだが,そのレベルが揃わず,なんともちぐはぐな状態が続く.そこに表れるライバル候補.それに奪われるのではないかと不安や嫉妬にかられる勝利である.


嫉妬は,恋ではないとマーフィは言っている.嫉妬は醜いもので,潜在意識にきちんと相手を描けていれば嫉妬に駆られるようなことはないという.しかし,私にはそんな芸当はまだ無理で,この勝利のように嫉妬にかられるだろう.男と楽しそうにしゃべっていたり頬をつけんばかりに近づいている姿をみると,心に漣がたつだろう.しかし,そんなこんなも含めて愛し受け入れられるものに私はなりたい(なる).