「おいしいコーヒーのいれ方III 彼女の朝」,村山由佳,集英社

おいしいコーヒーのいれ方 (3) 彼女の朝 (集英社文庫)
キスしてからなかなか二人で会う機会もなく,進展しない二人.それでいて心が通いあっている二人はいい.いつも自分ばかり一生懸命で,もしかして俺の片思いじゃないかとさえ心配になってくる,かれんの態度.まったくかれんは積極的な節がないのだ.それでいて,愛してくれているような気もする.とはいえ,何か愛してくれていると感じられる行動がほしいのである.そんなときに,かれんから飛び出した次の言葉「今日は,鴨川にいない?」.初めてすごす二人だけの時間.色々なことを考える勝利だが,結局いつもより素敵なキスをしただけである.それだけ,深く大切にしたいとおもっているのだと思う.

このシリーズは,分かりやすい展開である.物足りないところがあることも事実である.ただそれでいて,読んでいて色々考える.自分ならどうするか,この感覚がわかる,など.今の私にはよくわかるのである.