「「情」の管理「知」の管理」,童門冬二,PHP研究所

「情」の管理・「知」の管理―組織を率いる二大原則 (PHP文庫 ト 1-1)

人は「知」(=能力)を示すように求めるだけではついてはこない.逆に,「情」のみで管理しようとしても無理である.その絶妙な平衡を,歴史上の人物たちはどのようにとってきたのだろうか.多くの戦国武将や江戸時代の藩主の例をとりながら,解説する.

私は,とかく知ばかりでやっている気がする.己の能力や論理性ばかりで攻めることが仕事を円満に行っていく秘訣とはさらさら思わない.そこは,人と仕事をしているのだから,感情で動くことや,論理的にいくら正しくても,感情的に受け入れられないこともあるだろう.そのように,感情で受け入れられるようにはどうすればよいかと,考えさせられる本であった.まだ,自分で実践できるほどには体得できていない.ただ,これからは「知」をもっと伸ばしながら,「情」とはいかようなるものかを学んでいきたいと感じた.その一助となる,なるほどと考えさせられる書物だった.

人の上に立った者が,一番にしなくてはならないことは,「自分を棄てる」ことだ.自分の下らない面子,エゴ,了見を棄てれば,部下が見えてくる.ビジネスが見えてくる.世の中が見えてくる.否,世の中の方が見てくれ,と,その実態を見せてくれる.